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巻頭エッセイ


第396号 鮎沢玲子さん(3)「日本の色」:氷色

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■ 1.巻頭エッセイ:鮎沢玲子さんの「日本の色」Vol.3
          ≪氷色(こおりいろ)と日本人の色彩感覚≫ (2012,02/01)
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鎌倉は例年だと一、二度くらいは雪が降るのですが、今年はもうす
でに二度も雪が積もりました。

秋田から来られた人の話だと、−17度だとか。

まさに雪と氷の世界。

そこで、今回の巻頭エッセイは鮎沢玲子さんの氷色(こおりいろ)
についてです。


私が常々思うのは、日本はなんて恵まれた国なんだろう、というこ
とです。

海外を旅すればするほど、やっぱり日本はいいなぁ、と思います。

なんといっても、日本の食事、味、その繊細さとバラエティはどこ
の国にも見られないものです。

今ではイタリア料理でもフランス料理でも日本が一番美味しいとさ
えいわれています。

そのように美味しい料理が食べられるのは、日本人の味覚が発達し
ているからです。

そして、その料理には四季の味があり、四季折々の自然を取り入れ
た器や彩りがあり、きめこまやかなさまざまな日本文化が、その器
や日本食の味わいのなかに取り入れられています。

それらの日本人の感受性と色彩感覚、味覚を育てたのは、四季折々
の日本の自然や気候風土でもあります。

和辻哲郎の『風土』には、いかにその国の風土がそこに住む人々の
感受性や思想、考え方に影響を及ぼしているかが書かれています。

日本人の感受性や考え方も、その風土によって育まれた側面が多く
あります。

昔、日本に何度か訪れたことのあるインド人に聞いたことがあるの
ですが、辛いカレーに慣れ親しんでいると、日本食の味がわかるよ
うなるのに一週間ほどかかったとのことでした。

また、長年インドに住んでいた友人に言わせると、日本の寒さがあ
るから身体が引き締まっていいのだそうで、ずっと夏のようなとこ
ろにいると、からだがゆるんでしまいだめなのだそうです。

だから、「日本は寒い」と言いながら「寒いのが嬉しい」と喜んで
います。

また、宮岡伯人の「言語の違い、認識の違い」という文献を読むと、
彼が40年間学んできた南西アラスカのエスキモー語では、夏と冬
という言葉はあるけれども、春と秋は夏と冬のための備え、ないし
夏と冬への移行期としての言葉と認識しかないとのことです。

これに対して、セントローレンス島のエスキモーは氷を指し示す日
常語が99語あるそうです。これは、鯨やアザラシなどの猟と関わ
りがあり、風や海流、天候への観察が鋭くなっているからとのこと
です。

このようなさまざまなことを考え、日本人の色彩感覚と風土や文化
とのつながりを考察していくと興味が尽きません。

では、鮎沢玲子さんの「日本の色」Vol.3≪氷色(こおりいろ)と
日本人の色彩感覚≫をお楽しみください。

                           尚 記


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≪ 氷色(こおりいろ)と日本人の色彩感覚 ≫

今年は例年になく厳しい寒さの日が続いています。

関東地方でも朝の最低気温が氷点下になり、私の住む北関東では先
日、水道管が凍りました。

さて、この寒さにちなんで・・・今回の日本の色は「氷色」です。

一年の大半を、雪と氷に囲まれて生活するエスキモーの人たちは、
白い色を区別する言葉だけで、数十種類も持っていると聞いたこと
があります。

佐藤邦夫著『日本列島・好まれる色 嫌われる色』によると、色を
見分ける能力は、18歳くらいまでの生育環境で決まるのだそうで
す。

色の経験値が高いほど、色を見分ける能力は身につきますが、太陽
光線や湿度、日照時間といった自然環境の違いも大きく影響します。

以下は、この本のなかの記述です。

ある美術大学で、学生にポスターカラーで色相通りに色を塗るとい
う授業をしたところ、出身地により大きな違いが見られたそうです。

主に東日本出身者は寒色系(緑、青緑、青、青紫)を正確に見分け、
西日本の場合は暖色系(赤紫、赤、橙、黄)が得意だということが
わかりました。

日本は南北に長い国土であることから、単一民族でありながら色の
好みはほかに類を見ないほど多様なのだそうです。

四季の変化により、同じ場所でもさまざまな光線の違いを体験する
ことができ、自然に色彩感覚が磨かれます。

著者によると、日本は「色彩超大国」だと言うのです。

平安時代において「氷色」は、冬の装束のなかで格別な思い入れを
感じる色です。

「かさねの色目」と言って、平安貴族たちは衣を何枚も重ね着し、
そこに現れる配色に名前をつけました。

かさねによって季節感を表現し、着用する時期を定めています。

「氷」と名づけなれたかさねは、光沢のある白い薄物の下にまた白
を着て、まるで幾重にも重なった氷の層のよう。

氷の冷たさを白一色で表しています。

また、同じ白の薄物でも、下に紅梅色(薄い紅色)の衣を着るのが
「雪ノ下」。

白い生地の下に紅色が透けて見え、梅の花にうっすらと積もった雪
をイメージさせます。

どちらも冬のかさねの傑作です。

こんなに繊細な感覚を色で表現するなんて、素敵だと思いませんか?

イギリスで生まれたカラーケアシステム「オーラソーマ」が、これ
ほどまでに日本に定着し、愛されているのもうなずける気がします。

昔から、季節感はもとより、人の心理や身体感覚を色で表現するこ
とに長けている民族なのですから。

寒いからと家のなかに閉じこもっていないで、雪や氷、冬枯れの景
色など・・・冬には冬にしか見られない自然の色を楽しみたいです
ね。


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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール

有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。


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