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巻頭エッセイ


第826号 鮎沢さん(76)「季節の色52」:桜鼠

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■ 1.巻頭エッセイ:
     鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.52
            ≪【桜鼠】さくらねずみ・さくらねず≫ (2018,4/4)
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今は鎌倉も桜の季節。

満開となった桜は、あとは散るのみ。

ひらひらとそよ風に舞ながら、道沿いをピンクに染めていく姿も絵
になります。

小林秀雄の随筆で、吉野山の桜が風に舞い、桜の花びらが谷を川の
ように流れていく様子が描かれていて、その様子を見たくて吉野山
に行ったことがありますが、残念ながら風がない日で、その様子を
見ることができませんでした。

桜を愛した歌人としては西行が有名です。

花見にと 群れつつ人の 来るのみぞ
あたら桜の とがにはありける

という彼の桜にちなんだ歌に由来する、「西行桜」という能の演題
があるぐらいです。

西行の「山家集」の春の章は、173首のうち103首が桜にちなんだ歌
だというのですから、どれだけ桜が好きなんだ、と思います。

願はくは 花の下にて 春死なん
そのきさらぎの 望月のころ

と詠んだくらいですので、桜と心中したいぐらいに、桜に恋した人
だったのでしょう。

今ではアニメや弁当が日本文化として外国人に人気のようですが、
昔の外国人にとっての日本のイメージは桜、富士山、芸者と言われ
ていました。

鎌倉は外人の観光客でにぎわい、行き交う会話も日本語を聞くのが
珍しいぐらいになっています。

さて、今回の季節で楽しむ日本の色は「桜」。

しかも、単なるピンクの桜色ではなく「【桜鼠】さくらねずみ・さ
くらねず」。

渋いですねぇ〜。

谷崎潤一郎の瑞秘湯に「陰翳礼讃」というのがあります。

西洋は部屋の隅々まで明るくして、影をなくそうとするのに対して、
日本の文化は侘び寂びをも味わう感性があり、その陰翳をも味わお
うとするところが、日本人の感性の深みと豊かさがあるように思い
ます。

それでは、鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 Vol.52
≪【桜鼠】さくらねずみ・さくらねず≫を、どうぞお読みください。

それでは、今日もすてきな一日を!
Have a nice day.

                           尚 記


       ………○…………○…………○………


今年の桜は、例年になく早い時期に開花しました。

いつもなら、いつ咲くのかなと心待ちにする時間もまた楽しいもの
なのに、今年は気温が高い日が続いたためか、あっという間に満開
になってしまいましたね。

慌ててお花見の計画を繰り上げた人も多いのではないでしょうか。

今月取り上げた色「桜鼠」は、淡い紅色の「桜色」に灰色または
薄墨色がかって、わずかにくすんだ薄いピンク色になった色を
さします。

「鼠」とは、ねずみいろ(グレー)のことです。

この色から思い浮かべるのは、国の天然記念物に指定されている
岐阜県本巣市の「薄墨桜」です。

樹齢1500年を超えると言われるエドヒガンザクラの巨木で、
蕾のときは薄いピンク、咲くと花弁は白に見え、散り際には薄墨色
に変化するそうです。

遠目には、桜の花に薄く墨を流したように見えることから、
この名前で呼ばれています。


古今和歌集にこんな歌があります。

「深草の野辺の桜し心あらば 今年ばかりは墨染めに咲け」

平安時代、京都の南の方に「深草」(ふかくさ)という貴族が集ま
る風光明媚な場所があり、一角には桜の名所があったそうです。

この歌の作者は、親しい友人を亡くしたばかりでした。

平安時代、近しい人を亡くした時には「鈍色」(にびいろ)の着物
を着用して過ごす習慣がありました。

「鈍色」とは濃淡の差はあれ、彩度の低い墨色をさします。

どの色が「鈍色」というわけではなく、喪に服す気持ちを表す場合
に、この色名を使うのです。

作者は、人間が墨色の着物で悲しみを表現するように、桜の花に
「せめて今年だけは墨色がかった色に咲いてくれ」と呼びかけて
いるのです。

明るい陽射しのもとで咲き誇る桜の花と、大切な人を亡くした
悲しみが見事な対比となって、切々と胸に迫ってくる和歌です。

記憶に新しいところでは、先日、俳優の大杉漣さんが急逝されまし
た。

タレントの野村沙知代さんも昨年末でしたが、やはり急に亡くなら
れました。

昨日まで元気で普通に生活していたのに、あっけなくお別れが来て
しまうのは、ご家族や身近な人にとって大変なショックだと思いま
す。

有名人だけでなく自分の身近においても、こういうニュースを聴く
と、私自身「あと何回、何十回、桜の花を見られるのだろう?」な
どと考えてしまうことがあります。

あっけなくこの世を去ってしまう人と、桜の散り際がどうしても
重なってしまいます。

まだ十分に美しい花びらが散ってしまうように、患って弱った姿な
ど見せずに「お先に」と鮮やかに逝ってしまうのですね。

悔いのないように一日一日を生きなさいよ、と言われている気がし
ます。

(※こちらで画像とともに掲載をしています。
 https://ameblo.jp/aurasoma-unity/entry-12364953487.html


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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール

有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/


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